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キリストの受難と死の黙想による「十字架の道行き」


十字架の道行き


裁判からイエスの埋葬までの14の場面

イエスの受難と死を黙想し、祈りを捧げるカトリック教会の信仰心(信心)の一つ。通常、四旬節(しじゅんせつ、レント)や聖金曜日(受難週)に行われる。ピラトによる裁判からイエスの埋葬までを14の場面に分け、教会堂内もしくは屋外に、それぞれの場面ごとに「留」(りゅう、station)と呼ばれる祈りの場を設ける。各留には絵画や彫刻などによって黙想の対象となる場面が表現され、参加者は各留を順に巡ってイエスの受難と死を思い起こす。個人でも共同でも行うことができ、後者の場合、参加者を黙想に導くために先唱者(せんしょうしゃ)が留ごとに短い説明を行った後、一同による祈願や黙想が続く方法が通常用いられる。また、始めと結び、あるいは留を巡る途中に、十字架賛歌や「スタバト・マーテル」(悲しみの御母はたたずみ)などの聖歌を歌うこともできる。



イエスの歩みを追体験

古代にエルサレムを訪れた巡礼者が、帰国後、十字架を背負ってゴルゴタまで歩いたイエスの歩みを追体験しようとしたことに由来する。また、十字軍の兵士も帰国後、エルサレムで訪れた場所の絵を飾り、聖地とキリストの受難への信仰心を表した。1342年にフランシスコ会がエルサレムの維持管理を託されると、こうした信仰心の普及に努めた。当初、留の数は特定されず、5留から多いもので30留ほど設けることもあった。現在の14留は16世紀前半から見られ、イタリアのフランシスコ会士、ポルト・マウリツィオの聖レオナルドが熱心に広め、1731年、教皇クレメンス12世によって、聖書に基づく9留と伝承に基づく5留からなる14留が定着した。



【十字架の道行き】14留の内容

14留は、以下の通りである。①ピラトによる死刑宣告、②十字架を担う、③初めて倒れる、④母マリアと出会う、⑤キレネのシモンの助けを受ける、⑥ヴェロニカから布を受け取る、⑦再び倒れる、⑧エルサレムの婦人を慰める、⑨3度倒れる、⑩衣をはがされる、⑪十字架に付けられる、⑫十字架上で息をひきとる、⑬十字架から降ろされる、⑭墓に葬られる。


十字架の道行きは、伝統的にキリストの受難と死の黙想が中心であったが、受難と死を通して復活に至る主の過越の秘儀を思い起こすことも重要である。



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