↑礼拝堂
↑礼拝堂の小さい照明
↑礼拝堂側の外観
緑豊かな川崎市麻生区にあるまぶね教会は、なだらかな坂を登った小高い山の中腹に立つ。2層空間をもつ会堂は、斜面地の地形を利用することにより、1階のメインエントランスや集会室などの諸室から山側の2階の礼拝堂へと垂直的な上昇感を感じさせる空間構成となっている。そして円形、集中式、バシリカ式のいずれにも対応できるように、礼拝堂の会衆席は自由に配置できる個別の椅子である。これは人間と人間の平等な関係を現してもいる。
聖壇の天井はトップライト(天窓)になっており、明るい外光が降り注ぐ。そのため、岩のような鉄筋コンクリート造の打ち放しの地肌を見せる礼拝堂の中に、純白の光に満ちあふれた神聖さを醸しだしている。また礼拝堂の天井は、飼い葉桶の布を思わせるようなゆるやかな曲面になっている。夜は天井からランダムに吊るされた小さな照明の点光源が星空のように光り輝く。
まぶね教会は神と人間の垂直軸と、人間と人間の水平軸の結び目としての十字架を具現化すると同時に、いと小さき者と共に生きるイエスを宿す飼い葉桶のような聖なる空間である。
(月刊誌『信徒の友』「聖なる光と祈りの空間」2014年10月号より)